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SDGsに”翻弄”されず、SDGsを活用する

昨年の今月、日経SDGsフォーラムで登壇させて頂きましたので、今月はSDGs観点の日本スポーツ界への応援メッセージを送りたいと思います。

その日経SDGsフォーラムでパネル登壇をご一緒させて頂いたBリーグ幹部の方は、B LEAGUE Hope でSDGsを採用していなかったら、このブームに飲み込まれていた、というようなことをおっしゃっていましたが、実態として、ズバリ、多くのクラブがまだSDGsに翻弄されていますよね?笑

今日は、その状態から、「SDGsを活用する」ことができるようになるマインドをつくるコツについて、いくつかご紹介したいと思います。

まず、SDGsは「目的ではなくツール」であることを理解しましょう。ご存じの方も多いと思いますが、SDGは国連が(市民社会との対話を経てボトムアップでつくった)世界共通の社会課題への取り組み方の枠組みです。ですので、世界が一丸となって取り組むべき課題のリストになっていますが、各スポーツクラブにとって重要なのは、自社が事業を運営する地域の社会課題との整合性を確認することです。

忘れてならないのは、自社が事業を営む地域も「世界の一部」であり、当然ながら「日本の一部」でもあるという認識です。これらの事実から、気候危機とも言われ世界的に最重要課題とされている13番の気候変動問題と、日本が世界の先進国に比べて大幅に遅れをとっている5番のジェンダー平等については、外せない項目となります。意外なことに、この2つを外して「SDGsに取り組んでいます」と発信しているクラブが少なくないのですが、きちんと社会課題への取り組みを検討する手続きと検証を経たクラブであれば、必ず含まれているはずです。(社会のニーズから検証することなく、自社起点でどう取り組んだらよいかわからないから外す、といったプロとして誤ったマインドは、今日から捨てましょう。)

他の項目については、それぞれの地域課題により近いものを選定し、活動をデザインしていくことになりますが、本来は、ここで「ファンの意識調査」を実施してファンが取り組みたい社会課題に取り組むことができると、”はなまる”です。例えば、NBAは、もう20年くらい前からファンに関する精緻なリサーチをしており、NBAのファンが、環境問題への関心が高いことを把握しています。日本ではとくに、協賛企業がやりたいことをやる、という傾向も強いように感じますが、ファンの課題意識は、最重要ですので、是非考慮に入れて頂けるとよいと思います。

SDGsは、17目標と、それぞれに紐づけられた169のターゲットで構成されていますが、ターゲットまで読み込んでみると、国連の難しい言葉が並んでいて、一般の人には???となってしまう内容です。でも、スポーツチームからそれをわかりやすい表現で発信し、一緒に楽しみながら活動すれば、より多くの人々に未来のための行動に参画する機会を提供することができます。

スポーツには、社会を変える力があります。そして、影響力のあるプロスポーツには、その社会的影響力を活用しよりよい未来に貢献すべき社会的責任を果たす責務があります。オフコートでも、一流を目指しましょう。

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