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SDG13への取り組みベスト解

残暑お見舞い申し上げます。暑い日が続きますので、また気候変動の話題を。

このSSRコラムでも繰り返しお伝えしております通り、SDG13「気候変動に具体的な対策を」は最重要目標です。「13番なきSDGsはSDGsにあらず」ということわざはないかもしれませんが、それは世界の常識です。

日本では、気候変動問題への深刻さに関する認識が低いため、プロスポーツの中でも、SDGs13への取り組みをしているクラブは少ないように思います。社会活動の専門家からすると、SDG13を抜かして「SDGsを推進しています」と謳うのは、完全ウォッシュです。

ただ、現場としてハードルが高いのも事実です。なぜなら、気候変動問題への取り組みを推進するためには、以下の3つの要素がすべて揃う必要があるからです。

1)多くは英語で発信される気候変動問題の深刻さに対する理解

2)その理解を組織内で実施するまでに落とし込む組織力

3)様々な困難を乗り越えて現場での活動を継続する推進力

気候変動問題が厄介な点は、今日明日にどうにかなる問題ではないところ、今日明日に行動しないと確実に世界の終わりに近づく、ということ、それがゆえに一般的にその深刻さが理解されにくいことです。だから、大変なのはわかるけれど、どうしても後回しになってしまう、という現場の実情も理解を試みるに値するとは思います。

ただ、ひとつ、決定的に認識しておかなければならないことがあります。

それは、過去の行動は、後から変えることは決してできない、ということ。つまり、例えば数年後に(願わくばできるだけ早く)、CO2排出量計測が企業のコンプライアンスレベルの必須事項になった時、「おたくはいつからCO2排出量を計測していたんですか?」と聞かれた際に、

「うちは10年前から計測しています」

という企業と、

「昨年から計測開始しました」

という企業、どちらを信頼しますか?という話なんです。具体的には、どちらを協賛しますか?という問いになり、当然、その協賛を得るのは前者です。

そして、その「10年前から計測していた」という事実は、後からいくら巨額を積んでも、変更することはできないのです。私が、早期に行動をすることを勧める本質的な理由はここにあります。もちろん、第一義的には、気候変動問題の緊急性があるのですが。

「スポーツの社会的責任」の観点からみても、早期に行動できるクラブは、より社会的責任を果たすことにコミットしているといえ、ファンも誇りに思うでしょう。こういう、一見よくわからない事態に遭遇したとき、とりあえず様子を見る、という方法もあります。もう少し待って、他の人がやるのを横目で見て、うまくいっていることだけを真似してやればよい、という判断もあるでしょう。

でも、私は、そんな時に、大切なファンや地域にも悪影響を確実に与える”不都合な真実”から目を背けることなく、多少大変な思いをしてでも少しでも状況を改善するために行動してくれるチームのファンになりたいと思います。皆さんは、どうですか?

ベスト解は、フードドライブではなく、「CO2排出量計測」です。

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