ブログ

”世界を変えるバスケの力”~世界のBasketball for Goodムーブメント~

新年のご挨拶が遅くなってしまいましたが、今年も宜しくお願いいたします。

2025年最初のコラムは、弊社が企画運営する、World Basketball Day 推進プロジェクトの一環としてのオンラインメディア「GlobasketUnited」で今週公開されたFIBA財団の活動に関する記事について補足説明したいと思います。

この記事は、昨年11月に実施された World Basketball Day 啓発ウェビナーの基調講演内容をまとめたものですが、おそらく、FIBA財団の活動全貌について、日本語で紹介された日本初の記事だと思います。GlobasketUnited の新シリーズ「Basketball for Change」で公開された該当記事(前編後編)にも是非お目通しください。

昨年のウェビナーで基調講演をご担当頂いたのは、FIBA財団のシニアマネージャー、セーレン・ブロック氏で、FIBA財団の活動を推進する中心人物です。FIBA財団の理念や活動概要については、記事をお読み頂ければと思いますが、ここでは、FIBA財団のマインドと活動から、2025年のSSR活動をより有意義なものにするためのポイントについて解説します。

1)CSR活動の重視

FIBA財団以外にも、FIFAにも2018年にFIFA財団ができ、「ポジティブな社会的インパクト」と「重要な地球規模課題の啓発」へのコミットを示すために寄付や地域活動を実施しています。

昨今、CSR=慈善活動という誤った認識が蔓延り、CSRを揶揄するような表現もたまに見かけますが、慈善活動こそ、スポーツの力を最も効果的に体現できるものです。FIBA財団の基調講演では、”世界33億人のバスケットボールファン”への影響力について度々言及されていましたが、FIFA財団でいえば、世界35憶人以上とも言われるファンへの影響力をもっているわけで、とくにサッカーとバスケットボールは、世界で圧倒的なファン数とプロ化による産業の肥大化により、社会的責任を果たす責務レベルが高いと思います。

昨今、CSR専門家ではない方々が、「CSR=慈善活動」という表面的な理解(誤解)から、CSRを否定的にとらえる表現もたまに聞きますが、CSR軽視は組織の格下げ、ひいては衰退への一歩と覚悟しておいた方がよいでしょう。「CSR」の理解の仕方と因数分解については、また改めて解説したいと思いますが、「企業の社会的責任」というものは、企業が存在する限りなくならないである、と理解しておきましょう。

2)地域の社会課題に対応した活動をデザインする

FIBA財団の事例で、肥満率の高い国でバスケットボールを活用して運動習慣を身に着ける、といった内容の活動がありましたが、SSR活動において、まず大切なのが、このマインドです。つまり、自分たちがやりたい活動をやるのではなく、社会課題に対応した活動を実践する、ということです。そのためには、マーケット(ファンを越えた地域社会全体)をより深く理解することが最重要で、それが結果として、マーケティングにもつながるのです。

この点に関しては、以前、プロスポーツ界の社会貢献5つのNG というコラムにも含めておりますので、宜しければご参照ください。最近は、地域の社会課題をリサーチしてから活動を企画するクラブも増えてきたようでよい傾向ですが、「地域」の社会課題にも、「気候変動」といった地球規模課題も含まれることをお忘れなく。「地球の一部ではない地域」が存在するのであれば、話は別ですが、そんなことはあり得ないですよね。

繰り返しになりますが、世界基準では、13番なきSDGsはSDGsではありません。世界基準のマインドで、地域に寄り添い、活動を推進頂けたらと思います。

3)「スポーツxCSR」分野の人材

以前にもコラムで書きましたが、弊社が扱うSSR(スポーツの社会的責任)、つまり、「スポーツxCSR」分野は、特異性の高い2つの分野の高度な知識を備えていないとうまく実務を遂行できない、という難しいポジションで、日本でこのポジションがこなせる人は、まだ一握りです。

でも海外にいくと、この分野の人材は増えてきており、希望を感じます。FIBA財団のブロック氏もその一人で、スポーツマーケティング(マーケティングライツ)のことも、ソーシャルインパクトの話も、高いレベルでできるプロフェッショナルです。そういう人材がプロジェクトを動かしているからこそ、良質なプログラムが体現できるのだと思います。

余談ですが、NBAのSR(社会的責任)部門で働いていたある知人の前職はホワイトハウスで、中には国連機関に転職していった人もいます。世界では、第一線の社会活動分野のプロフェッショナルたちが、プロスポーツの社会貢献の現場を動かしており、しかも、マーケティングライツ調整も組織としてきちんと対応できているのは、まさにプロの業だと感じます。

現状、日本の現場の課題感としては、CSR・サステナビリティ分野の見識のある方、もしくはSDGsを少し勉強された方などがアドバイスに入られているケースが多いように感じますが、CSRといってもコーズ分野が多岐に渡り、全体を俯瞰して活動のポートフォリオを最適化できる人材には、ほぼ出会ったことがありません。

これは、弊社の課題でもあり、これまで、スポーツマーケティングの専門家の方々にCSRを学んで頂くか、CSR専門家の方々にスポーツマーケティングを学んで頂くか、どちらにするかで悩んでおりましたが、一旦、両方を小規模に試してみることにしました。年度内に研修なども開始したいと思っていますので、ご興味あれば是非ご参加ください。

最後に、私が現在アドバイザーを務めているFIBA財団が推進する Propose a Projectという助成金支援プロジェクトで助成団体を公募しております。英語のみの応募となりJBAの公認レターも必要ですが、Basketball for Good の活動を推進している非営利団体の方は是非ご応募頂ければと思います。

日本プロスポーツ界でも、今年も素晴らしいSSR活動の展開を期待しております。

関連記事

  1. 欧米ではなぜ「SDGsブーム」が起きないのか
  2. 脱炭素時代の外せないSDGs~「子どもたちのため」の本気度指標~…
  3. 国連も期待する”バスケの力”~World Basktball D…
  4. SDGsに”翻弄”されず、SDGsを活用する
  5. バスケとSDGsのクールな関係
  6. 日本スポーツ界最高峰のサステナビリティ推進トップランナー集団「エ…
  7. SDG13への取り組みベスト解
  8. 地球温暖化とスポーツの社会的責任 ~「よくもそんなことを」にスポ…
PAGE TOP